
正社員の夫と 専業主婦の妻と 子供
という経済成長期に広まった家族モデルが歴史的役割を終えようとしています。
20年後の老後生活を豊かにするための心構えを6回に渡ってお届けします。
Chapter 2
退職金をむしばむ、企業の新会計基準。
2000年3月期の決算から新しく導入された会計制度の新基準のことです。
その中身は、「連結決算制度の変更」「時価会計の導入」「退職給付債務の開示」などで、われわれにとって非常に重要な退職金に大きなダメ−ジを与えそうなのが、「退職給付債務の開示」という新ル−ルの導入です。
会社が社員の退職金のために積み立てるお金は、法人税上は控除となります。
つまり企業としては節税対策になるのです。ただし儲かっている会社にとっては。
これまで、退職金に関する積み立ての状況を決算書に記載する会計上のル−ルはありませんでした。しかし「退職給付債務開示」が導入されることによって、従業員に対して将来的に支払うことになる退職金額を厳格に見積もり、それに対する企業の準備状況を開示しなければならなくなったのです。
つまり、将来支払う予定の退職金がいくらで、それに対していま現在いくら用意できているのかを明確にしなさい、ということです。
そのプロセスは次のとおりです。新ル−ルに基づいて試算した結果、将来支払う金額と現在積み立てられている金額を比べて、積立金がマイナスであれば、それは「債務」として計上しなければならない。要は借金です。
問題はこの借金、将来支払わなければならない退職金の積み立て不足がいくらあるか。
ある試算では、上場企業だけでも80兆円が不足していると言われています。
国家予算クラスのお金がすでに足りない。このままいけばどうなるか、どうしなければならないか、答えは明らかです。
景気がよかった時代には、余剰金を会社の利益にして納税するよりも、退職金として積み立てたほうが企業にとってメリットがあったのです。しかし儲けが出なくなったいま、会計上「債務」を増やしかねない退職金の積み立ては、企業にとってお荷物でしかないのです。
退職金の減額はもちろん、退職金そのものを廃止しなければならない企業も出てくるでしょう。今後さらにリストラに拍車がかかることは間違いありません。
現行の制度では、若いうちに退職してもらえばもらうほど、会社にとって退職金額は少なくてすむのですから。
さらに、退職給付債務は15年以内に償却しなければなりません。
償却するためには、どこかから資金をまわさなければなりません。
その結果どうなるか。将来的に支払う退職金額を減らしながら、同時に現在の人件費を削減し、ひいては人員の削減という方法しかなくなってしまうのです。
ひつだけ確実に言えるのは、いずれにしても今まで通りに退職金が支給されることはないということです。企業の考え方はひとつ。節税の「うまみ」がなくなり「苦み」ばかりが強くなった退職金制度など、企業にとって無用の長物なのです。
退職金給付のための負債額を出来る限り圧縮する。
そのために有効な方法が下記のとおりです。
@ 退職金額の算出のもとになる基本給を低くする。
A 正社員を減らして、パ−トや派遣社員の割合を増やす。
B 退職金相当額を給料に上乗せする、退職金の前払い制度を採用する。
|