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大家さんのひとりごと



2006年11月1日

「床磨きの達人 」


床を磨いたことで、大きな気づきがありました。

祖母がまだ元気だった時代、
ボクは高校生でした。
わが家の長い廊下を、
モップを使って拭けば楽なのに、
いくら言っても、
頑としてぞうきん片手に拭き続けていました。

わざわざ、腰を低くして、
それも床に顔がこすれそうなくらいに、
それこそ、床にはいつくばるようにして、
夏には玉のような汗を流し、
冬でさえも額に汗をにじませて、
ただひたすら廊下を拭いていた祖母。

その当時のボクには、
全くワケが分からなかったのです。

それから30年後、床を拭いていて、
ボクが分かったこと。

祖母は、
廊下を拭いていたのではなく・・・

磨いていたのです。

自らの頭を高くしたままで、
モップで拭くのではなく、
自らの頭を、床にひっつくくらいに低くして、
来る日も 来る日も 
だまって磨き続けていたのです。

確かにモップは便利です。
おそらく 腰を傷めることもないでしょう。

でも、モップではできないことがあるのです。

それは、己(おの)が頭を低くすることです。

何で、あいつだけが、成功するんだ。
何で、自分は、成功しないんだ。
自分は、あいつよりも、もっと頑張っているのに。

このような想いがあるうちは、
己(おの)が目は、
己が心に向かずして、他人様に向いている。
己が目が、他人様に向いてる間は・・・

己(おのれ)の成功はない。

 

頭を低くすると謙虚になる。
謙虚になれば、自分の至らなさが目に見えてくる。

その自分の至らなさとは、
床の汚れそのものです。

不思議なものですね。
頭を低くして、
一生懸命床を磨くと、
床の一点に目が集中するからでしょうか。

そのとき、思いもかけない発想が
生まれ出ることも少なくないのです。

床がキレイになったら、
ほかの所も磨きたくなります。

ほかの所を磨き始めると、
今まで気づかなかったところの汚れに
自分の目が行き届きます。

この細かなところへ
己の目が行き届くことが
お客様への心配りに転じるのです。

お客様への心配りこそが
商売の鉄則。

生涯80年。
その半生を商売にうずめ、
その後、商売を辞めてから
70歳の手前で脳卒中で倒れる寸前まで、
床を磨き続け、
わが家を磨き続けてくれていました。

すべて 知っていたのですね。

祖母よ あなたは 偉大でした。


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