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大家さんのひとりごと




2005年06月06日

サイレント・マジョリティーに語りかける

皆さんは、サイレント・マジョリティーという言葉を
ご存知ですか?
「静かなる多数」とでも和訳すればいいでしょうか。
つまり、「声なき声を発する人の集まり」なのです。

チラシのキャッチコピーや内容の大抵は、
それを見る側の、そのチラシを見てから
わずか1秒後の判断でその勝負が決まると言われている、
いわゆる、どの業界にも共通することが
塾業界でも言えることもあって、
いかにして問い合わせの電話をかけてもらえるか、
あるいは、電話をかけさせるかというところに
焦点を置いている、セールス・チラシの形態をとっています。

最近の塾業界では、
チラシの反応率が年々落ちてきています。
1,000枚まいて1人の反応があれば上々と言われたのは
ほんの3年前までのことで、
現在ではその10倍である10,000枚をまいても
反応がゼロというひどい結果を生む場合も少なくないのです。

私の塾の場合に限ることなのかしれないのですが、
チラシを折り込んですぐに反応を示した人は、
決して入塾しないというジンクスがあります。

すぐに反応させるオファーとしては、
「入塾金は○○日までなら無料です」
「1か月無料体験授業を◇◇日まで実施中です」
「△△日までに入塾された方は、
モニター生として1年間授業料を半額にします」
・・・などがあります。

果たして、チラシ頒布(はんぷ)直後の問い合わせのあとに
体験授業をを受けにやって来た人は、
チラシでこちらが本当に伝えたかった細かいところについては
なにひとつ読んでいない、
「1か月無料」だけを目当てに集まってきた種の人でした。
つまり、「無料」に期待して来ただけの人の集まりだったのです。

ところが、5月になって、ワン・テンポ遅れた頃に
問い合わせが集中したのです。
こういう反応の年は珍しいので、ちょっと戸惑いはあったものの
嬉しい反応であることには違いありませんでした。
それでも、
「ああ、またしても無料目当ての種の人がやって来るのか」
と思いきや、なんと、そのほとんど全員が
「無料体験授業」が1か月も設定されていることすら
知らない人たちでした。

私がそのことを申し上げると、
「え? そんなのがあるのですか?」と驚かれる始末。
広告を折り込んだのは1回きりなので、
折り込んだ直後に反応があったものと全く同じのはずです。

果たして面談にやって来られた折りにお伺いすると、
先の「無料」に反応した人とは見ているところが
明らかに違っていました。

内容をじっくり読まれていたのです。
その人たちにとって「無料」は関係なくて、
本当にこちらが伝えたいと思って書いたところを
何度も読んで、その上で来てくださっていたのです。

そこで、チラシを見て判断する際に、
派手なキャッチコピーや大手塾のような進学実績を大きく掲げる、
いわゆるセールス・チラシに反応する人と、
私のような塾の、派手な宣伝文句の少ない啓蒙型のチラシに
反応する人のどちらが多いのかを尋ねてみました。

答は意外なものでした。
派手なセールス・チラシに反応する人は、
やはり派手なパフォーマンスをする人でもあるので、
どうしても人数が多いように見えるのだそうですが、
ほとんどの人は、チラシにすぐに反応した人が
何日後かにどのような答を出すのかを見てから
周囲の様子をうかがいながら動き出すというものでした。
そしてその比率は、すぐに反応する人の割合が1に対して、
様子をうかがいながらゆっくりと反応する人の割合は4。
塾の場合は、この「ゆっくり組」が圧倒的に多いということが
わかったのです。

もうお分かり頂けましたか?
この「ゆっくり組」がサイレント・マジョリティーなのです。
この種の人々の不思議さは、
こちらが訴えれば訴えるほど逃げていくこと。

「どうか聞いてください!」
「どうか見てください!」

このように訴えれば訴えるほど、
かえって用心してそっぽを向いてしまうのです。

新製品を売り出すとき、
その商品のいいところをアピールしたい。
これは塾でも同じです。
「いい授業」が「いい商品」なのですから。

でも、サイレントマ・ジョリティーに属する人は
塾なんだから「いい授業」は当たり前でしょ。
プロのシェフが作る料理がおいしいのは当たり前。
それと同じじゃないの、と考えるのです。

「その商品の優れたところはわかったから、
 至らないところはないのですか?
 その点をどのようにフォローしようと考えているのですか?
 その辺りを明確かつ正直に説明してくれないと、
 あなたのところの商品は買えないよ。」

私もまた、サイレント・マジョリティーに属する側であり、
このようなもののとらえ方をする人間でもあります。

塾にとって「静かなる多数」・「もの言わぬ多数」に
属する人ほど恐ろしい存在はない、と言ってもいいと思います。
「もの言わぬ多数」を納得させることができれば、
むしろすぐに反応する側の人を納得させるのは容易なことです。

ところが、世の広告は、
すぐに反応する人ばかりに焦点を当てすぎています。
特にテレビやラジオのコマーシャルは。
あの耳障りな高温を強調した音質で作り上げられている
15秒でめまぐるしく変わるコマーシャルには辟易します。
広告もまた然り。

塾業界に限らず、どの業界も、
そのうちにセールス・チラシも通用しなくなるのではないか、
そのように思われてなりません。
つまり、訴えかける文章は
もう読んではもらえなくなるということです。

これからは語りかける文章でないといけないのではないか。
ほんのりと柔らかで、それでいて深く温かみのある響きとなり、
読み手の心の中に灯火をともすように語りかける啓蒙型の文言。

例えば・・・
「私どもの広告をご覧下さり、ありがとうございます」
このような文言の広告があってもいいのに・・・。
サイレント・マジョリティーの開拓こそ、
今後の会社の命運を決定づけるのではないか・・・。

最近、とみに強く感じます。

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