リスク・マネージメント(保険の必要性)から始まるコンサルティングで安心をサービスする(株)アイブライト
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有限会社エー・エム・アイ
栩野 正喜
2004年9月21日
「またお越しくださいませ」は本当に必要ですか?
最近どこの店に行っても、とても耳に障る台詞があります。
「ありがとうございましたまたおこしくださいませ〜」。
句点(分の終わりにつける「。」)がない。ついでに感謝の気持ちが全く伝わってこない。
近隣に、とてもおいしいパンを提供しつづけている店があります。
その隣には、規模は小さいながらも品質の良さを売りにしているスーパーがありました。
「ありました」とあえて書いたのは、この6月30日を以て閉店に追い込まれたからです。
身内だけでの個人経営として20年近く続いているパン屋さんと、
企業経営としてやはり20年近く続いていたスーパー。
(店員さん)「ありがとうございます。」
(私) 「おおきに。」
(店員さん)「ありがとう!」
そして、私が店を出ようとすると、もう一度「ありがとう〜!」
たった1個のパンを買っただけのときも、大きな袋にいっぱいに買ったときも、いつも同じ。
「ありがとう」という言葉は、最低3回は発せられます。
美しい音楽にのせて「当店はお客様とのコミュニケーションを大切にしています。」と
店内放送されていたスーパーのレジ係は、いつもの句点なしのマニュアルあいさつ。
それも1度言うだけ。
ひどいときは、隣り合うレジ係りの人と無駄話をしながらレジを打つ始末。
ともにほぼ同時期に開店したのです。
確かに売られている商品のジャンルは全く違うのかもしれませんが、
ともに食品関係であり、それこそどこにでもあるような店で、
しかも(このような言い方は大変失礼ですが)代わりはいくらでもある、
何の変哲もない店です。
それに、このスーパーが隣のパン屋さんよりもずっと上質のパンを置いて、
しかもその経済力にモノを言わせて大量入荷のうえに安価販売戦略を展開していたならば、
個人経営のパン屋さんなどはひとたまりもなかったに違いありません。
私がこの2軒の店の構図に関心を抱かずにはいられなかったのは、
生き残っている理由と生き残れなかった理由の境目を目の当たりにしたからです。
なじみの客にはもちろんのこと、初めての客にでも大きくてよく通るさわやかな声で
「ありがとう!」を連呼する店員さん。
その声やその台詞の後ろには、「また来てね!」という言葉にはならない声があって、
それが店の中にいる客はもちろんのこと、店を出ようとする客のみならず、
たったいま入店した客にも強烈に伝わってくるのです。
「当店はお客様とのコミュニケーションを......」と店内放送されてはいても、
店員からその気持ちが全く伝わってこないばかりか、
客の顔すら見ることもなく句点なしのマニュアルあいさつをしながら、
手の先や意識は全く別の方向を向いている。
言葉で「またお越しくださいませ〜」と言われても、
「また来てね!」という気持ちのこもっていない台詞など、
聞くだけ耳障りで、かえって不愉快です。
手前味噌な話で恐縮いたしますが、私の塾ではニュースレターを50日に1度発行しています。
それも毎回30ページを優に超える、ニュースレターというよりも小冊子に近いものをです。
周囲の人からは毎月1回、それも定期的に出せばと言われていますが、
私はこのサイクルを変更する気はありません。
それは、50日に1度でないと、子どもたちや親御様に伝えることのできる内容を作り出せないからなのです。
形式ではなく、心に通じるニュースレターを作りたい。この一心で作っているからです。
それでも、「ウチの塾はコミュニケーションを大切にしています」という台詞を、
子どもたちや親御様に申し上げたことはありません。
理由は至極単純です。
そのようなことを何百回・何千回と繰り返すよりも、
その圧倒的な形によって「楽しんでくださいね!」というこちらの気持ちは、
現物の中身を見てあるいは読んで頂ければ、その瞬間に伝わるからです。
コミュニケーションとは単なる言葉のやり取りではないのです。
大切なのは心と心のやり取り。
この心のやり取りを真心込めて続けているパン屋さんが生き残り、
抜け殻のような言葉だけでのアピールに終始していたスーパーが生き残れなかったのは、
まさに自明の理。
「ありがとうございましたまたおこしくださいませ〜」と
何か別の作業をしながら客の顔を一度も見ることなく、
この句点なしの台詞さえ言えばことが済ませられると思っている
安易な考えの店員が発するこの台詞は、
少なくとも私にはこのように聞こえてならないのです。
「買うもの買ったらとっとと帰って、また来いよな。」
私は考えすぎですか?
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